「毎月いくら投資に回せばいいですか」という問いに、明確な答えを見たことがない。
手取りの2割、という話も読んだ。生活費を引いて余った分、という考え方も見た。どれも間違いではないのだろうが、自分の家計に当てはめようとすると、途端に手が止まった。
40代は出費の種類が多い。住宅、教育、保険、車。そのうえ、この先どう増えるかも読みにくい。その状態で「毎月いくら」を決めるのは、思っていたよりずっと難しかった。
私は月1万円から始めて、今は月5万円まで増やしている。そこに至るまでに何を考えたかを書いておく。
最初は月1万円だった
NISAを始めたとき、最初に設定したのは月1万円だった。
正直、多い金額ではない。ただそのときは、金額よりも「始めること」を優先していた。長く手をつけていなかったぶん、まず動かすことに意味があると思っていた。
このときは「いくらが適正か」を真剣に計算していない。無理なく出せる額を、なんとなく決めただけだった。
それでも、あとから振り返るとこの順番でよかったと思っている。最初から背伸びした金額を設定していたら、たぶん途中で止めていた。
「余ったら投資」ではうまくいかなかった
しばらくして、金額を見直すことにした。
最初に考えたのは、「毎月余った分を投資に回す」という方法だ。多くの人が最初に思いつくやり方だと思う。
これは、うまくいかなかった。
月によって余る額がまったく違う。冠婚葬祭が重なれば残らないし、何もなければそこそこ残る。金額が読めないと、積立の設定を毎月変えることになる。そもそも「余る」という状態が、自分の家計ではあまり発生しなかった。
やり方を逆にした。生活費と娯楽費を先に差し引いて、そこから投資に回せる額を計算する。
ポイントは、娯楽費を最初から除いていることだ。ここを「削る前提」にすると続かない。外食も、趣味も、家族で出かける費用も、使うものとして最初から確保しておく。そのうえで残る額を見る。
我慢して捻出した金額は、必ずどこかで反動が来る。それは節約で何度も経験してきたことだった。
生活防衛資金が先だった
投資額を決める前に、確保しておいたものがある。生活防衛資金だ。
目安として、生活費の6ヶ月分を現金で置いている。
これは投資に回さない。運用もしない。ただ置いておくお金だ。効率で言えば無駄に見えるかもしれないが、この6ヶ月分があるかないかで、投資に対する心理がまったく違う。
急に収入が止まっても、しばらくは生活できる。そう思えるから、相場が下がっても慌てて売らずに済む。
生活防衛資金は、投資のための保険のようなものだと思っている。ここを飛ばして積立額を増やすと、結局どこかで取り崩すことになる。
月5万円まで増やした理由
今、NISAのつみたては月5万円で設定している。
1万円から5万円に増やした理由は、二つある。
一つは単純に、投資に回せる資金が増えたこと。固定費を見直し、支出の全体像が見えるようになって、無理なく出せる額が上がった。
もう一つは、現預金の比率を下げると決めたことだ。
それまで、資産のほとんどが現金だった。安全ではあるが、増えることもない。長い目で見れば、それ自体がリスクだと考えるようになった。
生活防衛資金は6ヶ月分を維持したうえで、それを超える現金の一部を株式に移していく。そう決めてから、積立額を上げた。
金額を増やしたというより、資産の置き場所を変えたという感覚に近い。
高配当株は「積立」ではない
もう一つ、金額の考え方が違うものがある。日本の高配当株だ。
こちらは毎月定額では買っていない。貯蓄からまとめて出して、買いたいタイミングで買う。
高配当株は、いくらで買うかが結果を大きく左右する。同じ銘柄でも、割高な場面で買えば利回りは下がる。だから「毎月決まった日に機械的に」ではなく、良さそうな銘柄が割安になった場面で買う形にしている。
配分比率も、あらかじめ決めていない。インデックス何割、個別株何割、という設計にはしていない。
つまり、二階建てになっている。
土台は、月5万円のインデックス積立。考えずに続ける部分だ。
その上に、タイミングで買う高配当株。こちらは判断する部分になる。
役割が違うものを、同じルールで管理しようとしないほうがいい。そう考えてこの形に落ち着いた。
上限は金額では決めていない
「いくらまで投資に回すか」という上限は、金額では設定していない。
代わりに一つだけ基準がある。株価が大きく下落したときに、メンタルが保てる範囲かどうかだ。
株式の割合が増えるほど、下落したときの金額のブレも大きくなる。1割下がったとき、その金額を見て平然としていられるか。それとも動揺して売りたくなるか。
計算上いくら増えるか、より、下がったときに耐えられるか。40代からの投資では、そちらのほうが大事だと思っている。
若い頃、値動きに耐えられずに損切りした経験がある。数字の上では続けるべき場面でも、心理が持たなければ意味がない。あのときの自分に足りなかったのは、知識より許容量の見極めだった。
正解より、続けられる金額を
毎月いくら投資に回すか。この問いに、万人共通の答えはない。
家族構成も、収入も、この先の出費も違う。他人の金額を真似しても意味がない。
私が決めたのは、生活費と娯楽費を確保し、生活防衛資金を6ヶ月分残したうえで、下落しても平常心でいられる範囲まで。それだけだ。
そして、この金額は固定ではない。状況が変われば、また変える。1万円から5万円になったように、これからも動かしていくと思っている。
最初から完璧な金額を出そうとしなくていい。始めてから調整すればいい。それが、遠回りをしてきた自分の実感だ。
※この記事は個人の実体験をもとにした記録です。投資は自己判断・自己責任でお願いします。

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