iDeCoをやらないと決めた理由|40代がNISAを優先した3つの判断

生活の見直し

「iDeCoは節税になる」と、何度も目にした。

掛けたお金が全額所得控除になる。所得税と住民税が減る。運用益も非課税。40代からでも60歳まで15年以上ある。数字だけ見れば、やらない理由がないように見えた。

それでも、私はiDeCoをやっていない。

やらないと決めたのは、面倒だったからでも、よく分からなかったからでもない。調べた上で「今の自分には順番が違う」と判断した。その理由を、正直に書いておく。

理由①:60歳まで引き出せない

いちばん引っかかったのは、ここだった。

iDeCoは原則60歳まで引き出せない。途中で解約もできない。これは制度の欠点ではなく、老後資金を確実に残すための仕組みだと理解している。

ただ、40代というのは、お金の使い道がいちばん読めない時期でもある。

子どもの進路がどう転ぶか分からない。家のことでまとまった出費が出るかもしれない。親のことも、そろそろ現実味を帯びてくる。この先15年、一度も手をつけずに済むと言い切れる自信がなかった。

節税でいくら得をしても、必要なときに動かせないお金は、自分にとって安心材料にならない。そう思った。

理由②:転職先に企業型DCがあった

もう一つは、勤め先の制度の問題だった。

前の会社には企業型DC(確定拠出年金)がなかった。転職してから初めて、企業型DCという制度に加入することになった。

つまり、自分で意識していなかっただけで、老後資金の積立はすでに一本走っていたことになる。毎月、会社経由で拠出されている。運用商品も自分で選ぶ形だ。

iDeCoは、企業型DCに入っているかどうかで掛けられる上限額が変わる。制度が重なる部分がある。

そこまで調べて思ったのは、「新しい箱を増やす前に、今ある箱を把握するのが先だろう」ということだった。企業型DCの中身を自分で理解して、運用商品を見直す。まずそこからだと考えた。

理由③:出口の税金が分からなかった

三つ目が、いちばん決定的だった。

iDeCoは受け取るときに税金がかかる。一時金で受け取るか、年金形式で受け取るか、その組み合わせか。しかも退職金を受け取る時期との関係で、使える控除の枠が変わってくる。

このあたりを何度か調べた。正直に言うと、途中で理解が追いつかなくなった。

制度が複雑だから、という話ではない。将来自分がいくら退職金を受け取るのか、そのとき制度がどうなっているのか、そこが読めないと計算のしようがないのだ。

入口の節税額ははっきり計算できる。でも出口がぼんやりしている。分からないものに15年以上お金を固定するのは、自分の性格に合わないと思った。

だからNISAを先に埋めることにした

比べたときに、NISAは条件が真逆だった。

いつでも売って引き出せる。使わなかった枠は翌年に持ち越せる。出口で税金の計算をする必要がない。非課税で完結する。

節税額という一点だけを見れば、iDeCoの方が有利な場面はある。それは分かっている。

それでも、まずNISAの枠を埋めることを優先した。理由はシンプルで、途中で状況が変わっても対応できるからだ。40代からの十数年は、何が起きるか分からない。動かせる余地を残しておきたかった。

iDeCoを否定しているわけではない

一つだけ、はっきり書いておきたい。

iDeCoが悪い制度だとは思っていない。所得控除のメリットは本物だし、自営業の方や、企業型DCがない会社に勤めている人、老後資金の枠を確実に確保したい人にとっては、有力な選択肢だと思う。

私が選ばなかったのは、私の条件がそうだったからだ。勤め先に企業型DCがあり、この先の出費が読みにくく、出口の見通しが立たなかった。それだけの話だ。

そして「今はやらない」であって、「一生やらない」ではない。子どもの進路が固まって、出費の見通しが立ったら、そのときにもう一度考える。制度は逃げない。

急いで決めなくていい。順番を自分で決められることの方が、40代には大事だと思っている。


※この記事は個人の実体験をもとにした記録です。制度の詳細や税制は改正される場合があります。加入の判断は必ずご自身でご確認のうえ、自己責任でお願いします。


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